不思議な「44番出口」と池袋駅の魅力

池袋駅には、皆さんも一度は見かけたことがある「44番出口」という出入口があります。
しかし、この出入口は何と一切の案内がないため、方向感覚を失った人々を戸惑わせる存在として知られています。
この「44番出口」は実際にはどこにも行けず、ただの謎の存在として池袋の街に佇んでいるのです。

そんな不思議な出入口の正体を探りながら、池袋駅の歴史的な背景も紐解いていきましょう。

「44番出口」の誕生とその役割

1964年、昭和の東京オリンピックが開催される直前、池袋駅の地下街「池袋ショッピングパーク（ISP）」が開業しました。
その際、「44番出口」も設置されたものの、当時のバス乗り場の近くにあり、利用客が地下街や地下鉄にスムーズにアクセスできるようにとの意図があったと考えられます。

しかし、1970年代になると、トロリーバスの廃止などの影響で、駅周辺の環境が大きく変化してしまったのです。
このように、かつては活躍の場を持っていた「44番出口」ですが、次第にその役割を失ってしまったのです。

道路の変化と「44番出口」の孤立

その後、池袋駅周辺の交通状況は次第に変わっていき、タクシープールの設置や緑地帯の撤去が行われました。

この結果、「44番出口」は完全に孤立した状態に置かれ、もはや出入口としての役割を果たすことは叶いませんでした。
駅の構内案内にも「44」の存在は無視され、まさに「幻」のような存在となってしまったのです。
これにより、訪れる人々がその存在を認識することも困難になりました。

出入口番号の謎とその意図

さらに面白いのは、なぜ「44番出口」が他の出入口番号と同様に存在するのかということです。
周囲のISP出入口が「33」までであるのに対し、「44」の番号が割り振られた理由は、実は周囲の番号から意図的に安排されたものと考えられます。
駅構内に掲出されている出口案内には、「43」までしか案内されていないため、一般の利用客にとって「44番出口」が存在するとは思えません。

この隠れた形での存在は、まさに幻想的です。

まとめ：時間の流れとともに変わる都市の姿

池袋駅の「44番出口」が抱える歴史やその背景を知ると、私たちが普段意識しない都市の変遷や交通の流れに思いを馳せることができます。
地元の人々にとっては忘れ去られた存在かもしれませんが、観光客にとっては新たな発見の場となり得るこの不思議な出口。

次に池袋を訪れる際には、ぜひ一度「44番出口」に目を向け、その歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
新たな視点で街を楽しむきっかけになるかもしれません。