探検ファクトリー▽航空機から日曜大工まで日本のモノ作りを支える工具メーカー
令和5年7月21日放送 NHK総合
すっちー 礼二(中川家) 剛(中川家)
日本の工具の伝統を感じる久御山町の工場
日本には長い歴史を持つ伝統的な職人技が数多く存在しますが、その中でも工具づくりは特に注目されるべき存在です。
京都・久御山町に位置する工場では、70年以上もの間、工具一筋に取り組んできたという、その情熱に触れることができました。
工場の建物に足を踏み入れると、壁一面に飾られた工具の数々が目に飛び込んできます。
さまざまな種類の工具が約1万2000種類も取り扱われており、その量に圧倒されるばかりです。
見学の中で特に印象的だったのは、最高級の工具が展示されているエリアです。
ここでは世界的なラリーで使用される工具を目にすることができました。
軽くて強く、使いやすさにも優れていると言われるこれらの工具は、まさに職人の技と経験が集約されたものです。
職人の手によって製造される工具の数々
工場には270人もの従業員がおり、1日あたり約12万個もの工具が製造されています。
その製造現場を見学する機会も得ることができました。
工具の製造には熱間鍛造と冷間鍛造という技術が使われており、それぞれ異なる工程が必要です。
熱間鍛造では約1000度に加熱された材料が成形されます。
この工程では材料の状態がバラバラになることがありますが、それに対応する正確な技術力が求められます。
冷間鍛造では、寸法の精度が重要な筒状の工具が成形されます。
更に精度の高い形状にするために、鍛造後に加工が行われます。
そして、表面を研磨し、めっき処理を施すことで美しい仕上がりに仕上げられます。
品質に徹底的にこだわる最上位モデルとデジタル工具
工場では、最上位モデルの工具には徹底的な品質管理が行われています。
作業歴20年の熟練した検査員が細かい傷も見逃さず、検査を行っています。
さらに、破壊試験も行われ、安全性と耐久性を確認しています。
また、最新のデジタル技術を取り入れた工具も紹介されました。
これらの工具はタイヤのボルトを締める際に、締めた力が数字で表示されるなど、より正確な作業を可能にしています。
伝統と現代技術が融合した工具
最後に、社長が特に力を入れているという京漆器とコラボした工具が紹介されました。
京都ならではの伝統技法を取り入れた豪華な装飾が施されており、ただの道具以上の価値を感じます。
工具とはただの道具ではありません。
人間の能力を拡張し、作業をより効率的かつ正確に行えるものです。
久御山町の工場に訪れた瞬間、そんな工具の真価を改めて実感しました。
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